ともに育つ ともに育つ

『ともに育つ』発行によせて 『ともに育つ』発行によせて
公益社団法人 川崎市幼稚園協会
 会長 鈴木 伸司
 平素は公益社団法人川崎市幼稚園協会の事業、とりわけ研究研修活動に深いご理解とご支援をいただき、あらためて感謝申し上げます。今年もご関係の皆さまに幼稚園協会の<統合保育実践記録『ともに育つ』>をお届けいたします。
 これは、本協会の事業のなかでも最重要課題として位置づけ、長年にわたり川崎市幼稚園協会が独自で積み上げてきた統合保育研究会の年間研究記録です。今年度は石渡宏之委員長を中心に、講師の塚越和子先生のご指導をいただき、研究指定園の先生方が熱心に継続研究をすすめてきました。研究会では、園において特別な配慮の必要な園児についての事例研究を中心に、障がいの理解、適切な関わり方、協力体制の構築等、該当児の個別の指導計画とその成果について深く掘り下げた研究を重ねていただきました。内容には単に実践記録という枠を超えて、すべての幼児の発達理解や支援の方法、保育者の関わり方の参考になる対応や創意工夫が豊富に含まれています。どうぞお手に取って、ご一読いただきたいと存じます。
 振り返りますと、昭和56年の国際障害者年をきっかけに協会では統合保育研究指定園(当初は15園、平成5年からは20園)を委嘱し、広汎性発達障害や心身障害等についての実践事例について研究をすすめました。そして、加盟園へは障がいを持ったお子さんについても、積極的な受け入れ体制をとっていただくようお願いしてきました。また、視聴覚障害の早期発見に大変役立っている小児療育相談センターによる4歳児の視聴覚検診もこの頃からの実施です。川崎市からは深いご理解をいただき、特別支援教育研究研修事業補助金で各園に援助をいただくとともに、幼児教育巡回相談として希望園への臨床発達心理士の派遣という形で現場教職員へのご支援もいただいているところです。更に、本協会の大事な事業の1つでもある幼児教育相談室は心理職、療育の専門職の先生を複数配置して年間50日以上開設し、保護者の育児相談に大変役立っています。
 さて、日本に最初の幼稚園が1876年に東京女子師範学校の附属として誕生以来、幼稚園教育は140年という歴史を刻んできました。そんな幼稚園の長い歴史を振り返っても、平成27年に施行された「子ども・子育て支援新制度」は幼稚園界にとって、最も大きな変化と言わざるを得ません。制度の実施により、各園は市の所管となり施設型給付を受ける幼稚園、認定こども園となるか、いままでどおり県の所管で私学助成を受ける幼稚園として運営していくかの選択に迫られました。しかし、園の形態がどう変わろうと、私たちが子どもの最善の利益を求めて日々教育に情熱を注ぐという使命は不変だと思います。これからも市内の全加盟園が子どもたちの心豊かな成長を願い、より質の高い教育を実践していくためにも、先達の方々が築き上げてこられた統合保育の実践を更に深めていかなければなりません。
 子どもたちを取り巻く社会に目を向けると、経済の高度成長や核家族化がすすみ、また生活が便利になる一方、地域の結びつきが希薄となり社会のなかで子どもの居場所が少なくなってしまったようです。そんななか、集団教育の場において特別な支援を必要とする幼児の数は年々増加しています。これは川崎市の幼稚園に限ったことではなく、全国的な傾向であります。これからも、私たちは特別支援教育、統合保育に意識を高く持ち、研究研修を深めていかねばなりません。その意味でも『ともに育つ』が各現場で有効にお使いいただけることを祈ります。
 末筆となりましたが、1年間、川崎の統合保育の中心的存在として熱心に研究に励まれた統合保育研究会の先生方、そして丁寧で親身なご指導をいただいた講師の先生方に心より感謝とお礼を申し上げ、発刊のご挨拶とさせていただきます。