ともに育つ

『ともに育つ』発行によせて
社団法人 川崎市幼稚園協会 会長 伊藤 夏夫
 平成27年4月から子ども・子育て支援新制度が施行されました。
 「川崎市子ども・子育て支援事業計画 子どもの未来応援プラン」が策定され、平成31年度までの特別支援教育の主な取り組みが示されました。「障がいのある子どもと家庭への支援の充実」として、①相談支援体制の充実 ②障がい児の医療・福祉サービスの提供 ③学校における特別支援教育の充実 を推進項目として明確な目標を打ち出しました。川崎市幼稚園協会としても統合保育の実践をさらに進め、地域社会全体で支えていくという取り組みの大きな役割を担っていきます。
 昭和56年(1981)、国際障害者年に主張された「障がい者の社会への完全参加と平等」の理念と運動を契機に、統合保育への理解が深まり、ひろく実施されるようになりました。すでに川崎市内では実施している幼稚園もありましたが、国際障害者年をきっかけに障害児教育研究会を設置し、本格的な研究研修活動が展開されるようになりました。また、研究指定園(昭和56年度から15園、平成5年度から20園)を委嘱し、統合保育研究会を設置し、情緒障害・知的発達遅滞などの実践事例をもとに研究が行われました。川崎市当局の深いご理解により、障害児教育研修事業補助金を受けることができたのです。同時に身体の機能障害の早期発見と適切な療育指導を目的とした視聴覚検診もこの頃から実施されました。昭和58年には各園からの要請により小児療育相談センターの先生が巡回し、子どものようすを観察していただき今後の園での指導の助言を受けられるようになりました。関連事業としても平成2年度から始めた幼児教育相談事業も毎年利用者が増加しており、当協会の事業のなかでもとても重要な役割をはたしております。平成16年には統合保育研究会プロジェクト委員会が、統合保育で悩んでいる園やこれから統合保育を実践しようという園の現場教職員のための道標となる「統合保育のとびら」を発刊しました。これは現在でも改訂されながら配布され、現場教職員の有意義な参考書となっています。
 現在30数年が経過いたしましたが、その間には障がい児の研究から障がいを持つ子も健常児も、ともに育つという視点で研究活動が進められてきたのです。お預かりしている特別支援の必要なお子さんは年々増加し、86園で1000名を超えています。幼児教育相談事業も年間延べ200名の保護者から相談を受けております。このように当協会の特別支援事業は長い年月と多くの先輩、また教職員のたゆまぬ研究と努力で成り立っていることは大きな財産であり、協会にとって最重要の事業であることは言うまでもありません。
そして、なんといっても特筆すべきは川崎市幼児教育巡回相談が順調に実施されていることです。これは川崎市が幼稚園に教育相談員(臨床発達心理士)を派遣し、現場の教育相談に応じるという市の事業です。川崎市の私立幼稚園へのご理解に深く感謝いたします。
当協会では特別支援教育研究の大きな成果として、今年度も統合保育実践記録『ともに育つ』をお届けします。これは統合保育研究会の先生方の大変なご努力により1年間の活動の記録としてまとめられたものです。私たちの特別支援教育への思い、そしてその取り組みをご理解いただくために活用いただければ幸いです。
 そして、統合保育の中心的な存在としてご活躍された統合保育研究会の先生方、積極的にご指導くださった講師の先生方に心から感謝申し上げ、発刊の言葉とさせていただきます。